それにしても思い切った命名である。
『みやけゆう歯科医院』
自分の名前だ。
22年ほど前に自分の歯科医院を決める前に、
三宅の父親が歯科医院の名前を考えていて
度肝を抜かれた。
父の名誉のために候補名は挙げないが、
全くぶれることなく『みやけゆう歯科医院』に決めた。
今にしたら親孝行ではなかったかも知れぬ。
自分の名前を屋号にしたら、
すぐさま多くの子どもたちから
『みやけゆう』と呼び捨てにされた。
もっとも個人名ではなく、
この歯科医院か、歯科医院の場所を
『みやけゆう』と呼称する様だ。
たとえば、
「ねー、どうして『みやけゆう』の屋根は三角なの?」
といった具合である。
タクシーの運転手さんにも言われたことがある。
「『みやけゆう』ね!」
なるほど地名みたいなものか。
両親が心を込めて名付けた私の名前は
なんとなく地名っぽくなった。
父がこれを喜んでくれるかどうか
聞いてみたいものだ。
いやいや、
父の声はいつでも聞こえるのである。
「オレの考えた名前が良かった」