院長の「なんていうか」日誌

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邂逅

急患でいらしたご婦人は、
「前に歯医者へいったのは
いつだったかねぇ・・・。」と
[ささき]に話していた。
数年前に大病を患い、
それから歯科へは行って
いないらしい。
[ささき]が報告をしに来て
思い掛けないことを口にした。



「息子さんが先生と
同級生ですって言ってます。」


「ええー?」




三宅は高校から
北見を出てしまったからか、
人望の問題か、
中学以前の同級生とは
すっかり疎遠である。


定期的に来てくれている
同級生は小学生の頃とても勇ましく、
「今日の運動会、絶対負けないからな!!!」と
運動会の当日に凄い剣幕で
三宅に向かって叫んだほどのヤツである。
30年ぶりに再開したら、
大人しくフレンドリーな
男になっており、
ヤツが来る日が
楽しみになった。



「こんにちは。」
急患の患者様の顔をのぞき込むと
明らかにいつかどこかで
見た顔であった。
彼女の息子は
中学時代の親友「じゅんべぇ」である。


「なつかしいねぇ。」


「つい最近にも思えますね。」



帰り道が同じで、
延々とプラモデルの話や、
テレビアニメについての話から、
当時初めて飛んだばかりの
スペースシャトルの軌道について」
などという到底北見の中学生には
無理な話題を真剣に
語り合った友人である。
しかし「じゅんべぇ」の母親に会ったのは
初めてであった。



確かに、
母親の瞳の中には彼の面影があった。
聞けば、息子は横浜にいるのだという。
話をしているうちに
「じゅんべぇ」の声にそっくりな事に気がついた。
中学を卒業した春より
27年ぶりの邂逅である。



「じゅんべぇ」のお母様の口の中は、
決して簡単ではない状況にあった。
どうやって治療しようか迷うほどで、
宿題を出された格好になった。



でも「じゅんべぇ」、
お母様の一番良いようにするから、
横浜から帰ってきたら
電話を頂戴。