院長の「なんていうか」日誌

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煙の記憶

去る6月27日(土)と28日(日)は
北見にSL列車が来て、
「北見ー遠軽」間の
特別なツアーが企画されていた。
三宅は鉄道マニア、通称「鉄」ではない。
しかし、息子にSLなるものを実際に
見せるのも悪くなかろうと
いそいそと見物に出かけた。


三宅が選んだ見物ポイントは
思ったほどに見物客はいなかった。
熱の入った「鉄」が線路内に
入らないようにするためか、
各踏み切りにはヘルメットをかぶった
JR職員と思われる係員が
線路を護るように配置されており、
特別な事柄であることを表していた。



遠くから汽笛を鳴らし、
煙を吐きながら
蒸気機関車はやってきた。
煙と蒸気の迫力に
息子と三宅は息を飲んだ。
それほどに迫力があった。
何も言わず、手を振るだけで
三宅は感動してしまった。



いても立ってもいられず、
SLを追いかけたい衝動に駆られた。
北見駅までもう一度見に行く?」との問いに
息子も二つ返事で同意した。
親子して“男の子”である。





「C11 207 日立」と車番がある。
この形式で動く車両は国内で
5台あるのだそうだ。
JR北海道は2台を動態保存している。
東京の新橋駅前には同形の
C11がモニュメントとして
飾られているが、
40年ほど前には日本全国で
働いていた名機であった。



三宅の実家はJR石北線のそばにある。
もっとも三宅が小学生の時だったか、
全国でも珍しい[地下トンネル]に変わってしまい、
今では鉄道の上に公園があるのである。


幼少の頃、自宅の脇を走っているのは
SLばかりであった。
当時、SLの煙はすさまじく、
しばしばSLが通った後には
視界が悪くなるほどであった。
それくらいモクモクと煙をあげて
走っていたのである。
煙の長さは10両編成の車両ほど長かった。


今回みたC11とは煙の[匂い]が
まるで違う。
もっと香ばしい香りがしたものだ。
きっと石炭が違うのであろう。
これもエコという事だろうか。


こんな話をすると、
内地生まれの家人は目を丸くして、
すごく珍しいものを見るように
三宅を見る。


「あなたもしかして本当は70歳くらいじゃないの?」



「フツーに走ってたんだって!」



「いつの時代の方かしら?」



昭和である。
現代の環境意識から鑑みると
SLがいなくなったのも当然に思う。
しかしSLは昭和の香りがする。
ノスタルジックに浸るのも
年に1度くらい悪くはあるまい。


はじめて見たSLに
息子はいたく満足げだった。




これであの煙の香りが再現されたらなぁ。