漫画、「玄米せんせいの弁当箱」を
読んで三宅が10年ぶりに包丁を
持った話は先日お伝えした。
http://d.hatena.ne.jp/miyake-yuu/20091208/1260243332
このときは様々な不手際があったので
三宅は深く残念した。
こう言うのもなんだが、
自分では結構器用なつもりである。
器用な男が娘に
「大丈夫なのぉ。」と
言われたままでは
いけないのである。
そこでもう一度夕食の
おかずを作るべく
再チャレンジしたのだ。
今回のお題は「回鍋肉(ホイコーロー)」である。
前回の青椒肉絲(チンジャオロース)と
同じCookDoなお手軽路線だが、
そこはご容赦願いたい。
まずは買い物からである。
過日、尊敬する魚戸先生から
「男料理は食材の値段を考えない」と
ご指摘をいただいた。
確かに、いざ料理をしようと思うと、
高級な食材、特に肉系は高価なものを、
「松阪牛で肉ジャガ」といった
選択をしたくなる気持ちも
男としてよく分かる。
それを踏まえて
食材選びは細心の注意を払った。
豚肉もピーマンネギも
レシピ通りの分量で、
ブランド品ではない。
キャベツに至っては
少々しなびている
割引シールの
付いたものを選んだ。
「流石ね」と家人に
褒められるだろうと
ほくそ笑んだ。
しかし、食材を見るやいなや
家人は冷蔵庫を開き、
新鮮なピーマンとキャベツを
取り出して視線を三宅に向けた。
既に何らかの予定で
購入済みだったのである。
言葉も出ない。
冷蔵庫に何が在るかなど
考えてもみなかったのである。
世の中の女性は皆冷蔵庫の中身を
把握しているのだろう。
なんてこった。
前回に引き続き三宅が包丁を持つと
娘が飛んできた。
「心配だからね。」
父親に向かって何を言うのだろう。
自分は大丈夫である。
では回鍋肉のレシピに沿って
キャベツを切っていこう。
「・・・ぶつ切りって、どうだっけ。」
「ザクって切るの。」
結局、娘に指導される始末である。
豚肉は5センチ幅に切るよう
書かれているのだが、
『5センチだと食べにくくないかなぁ』
と思い3センチにする。
・・・自分で調理をすると
食べる人の事を考えるのである。
「ふっ」と家族の顔が浮かんでくる。
そう気付くと自分の過去に遡って
自炊の時代や、
高校くらいから母の手料理に
「味が薄い」などと
文句をつけた事が
今更になって
妙に悔やまれた。
想いにふけっている間に
娘がネギを
キッチリ切ってしまった。
重ね重ね不覚である。
炒めるのは大丈夫であった。
三宅の好むフライパンは
鉄製で重かったので、
娘が手を出すことはなかったが
口を出していた。
「もうそろそろ良いんじゃない。」
炒め具合も指導の対象である。
いままで家人の料理に
注文をつけた事はなかったが、
感謝が足りないと思った。
かくように料理は
三宅の頭で考えるよりも
広く深い様子である。
でき上がった回鍋肉は
子供たちにも好評で
瞬く間に家族で平らげた。
誰よりも喜んでくれたのは家人で、
「前回より上手くなった。」
と褒めてくれたが
恐縮するばかりで
どうしていいか
分からない三宅であった。
ほんの2回の調理で三宅が
<食育>の事をとやかく言う
ことは出来ないのだが、
歯医者が「よく咬んで」とか
「砂糖を使わないお菓子」などという話では
<食育うんぬん>と云うには
ほど遠いのではないかと思う。
でも歯医者でも食育の一端を
担うことが出来そうな
気がするのも本当だった。
しかし、
皆が食事を終え
三宅が己の大冒険を振り返り
安堵している間に、
家人が食器を洗ってしまったのは
痛恨の事態であった。
世の奥様は偉いのである。