院長の「なんていうか」日誌

みやけゆう歯科医院のオフィシャルページ

ベンジャミン・バトン


「どうして人は歳を取るの。」



最近の息子の質問は
いよいよ『そういった』内容を
含むようになった。
冗談で返したら涙目になられて
ちょっと慌てた。



そんなことがあって
購入後も観ずに置いてあった
『ベンジャミン・バトン』のソフトを
観る事にしたのである。



第一次世界大戦の終わりに
生まれた子供はまるで
80歳の老人の様だった。
不思議な事に年齢を重ねるたびに
若返っていく男、
それが[ベンジャミン・バトン]である。
運命の少女[デイジー]と出会い、
そしてすれ違ってゆく。
年齢を重ねる二人の運命は・・・。



何より俳優達の
メイクアップが素晴らしく、
刻々と変わる主人公達の年輪を
惜しげもなく見せてくれる。
さらに、その世界観や時代背景を
映像化するに当たって
時代考証に相当な力を注いだ力作である。
3時間近い映画なのだが、
長さを感じさせられる
事は最後までなかった。



何かの本で
「女と男はすれ違うものである。」と
読んだ事があるが、
この映画はまさにそれを
表現している。
ヒロインのデイジーがダンサーとして
世界に羽ばたくのに対し、
ベンジャミンは実質30歳位だろうに
60歳くらいの容貌で行動も地味。
当然のようにすれ違い、
すれ違いはお互いに変化をもたらす・・・。
そんな描写は極めてリアルであり、
なんていうか切ない気持ちになった。


人生は偶然と必然の繰り返しで
たびたび「人生は何があるかわからない」
というメッセージが出てくるが
悪い意味ではなく、
ベンジャミンとデイジーとの間で
表裏一体となって現れる。
2人が同じ年代になるのは
ほんの一瞬なのである。




映像は美しく、
妖艶なデイジー役の
ケイト・ブランシェット]も素敵なら、
どんどん若くなっていく
ベンジャミン役の
ブラッド・ピット]は
<同性が言うのもなんだが>
息を飲むような若さで
爽やかに輝いて映る。



物語の結末は
人生の当然の結末を迎えるのだが
2人は幸せだったのかどうか
観る人の立場や性別、
年代によってかなり
異なるのはないだろうか。
ベンジャミンという
1人の男の人生を
丹念に描き、
それに寄り添った
愛しい女性の話が
この映画だ。
三宅はこのカップル達が
幸せな人生だったに
違いないと思うのだが
皆様はいかがだろう。



結局、
息子に人生観を伝えるには
この映画は色々な
示唆に富み過ぎていて
言葉になりにくく、
参考にはならなかった。
しかし、
『人生はまんざら悪くない』
という根底にあるメッセージが
爽やかな気分にさせる
本物の映画である。
これをどの様に息子に
伝えればよいだろう・・・。
どうぞあなたも、
大切な人と観て欲しい。



ベンジャミンが出会った
素晴らしい人々が
ラストに花を添える。



河辺に座る人
ピアノが上手な人
雷に打たれる人
泳ぐ人
母親
シェークスピア好き
ボタンを作る人
アーティスト
ダンサー




歯医者は?



ベンジャミン・バトン 数奇な人生 (2枚組) [Blu-ray]

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