朝起きると街の景色は一面の銀世界だった。
先日も雪が降ったので
家族に驚きはなかったが、
三宅とその息子だけ
色めきだっていた。
「早くスケートがしたい」
ウキウキする息子だったが、
スケートは三宅の最も不得意な体育であり
自分の息子がそんな言葉を
口にするのが信じられない。
遺伝はどうなったのさ。
道路を走る車は
滑るのを恐れて
ゆっくりと走っている。
田舎町とは言え、
朝の通勤時の車のスピードは
歩行者には恐ろしい早さなので、
1年中雪が降らないかと
思わないでもない。
まだまだ根雪になはらないだろう
というのが三宅の読みである。