「先生、Tさんって方が
『有くんいますか』って電話です」
昨日歯科衛生士の［いしかわ］が
診療中に電話を持ちながら
そう伝えてきてビックリした。
Ｔ先生は三宅が歯医者に進路を決めるに当たって、
最も影響を与えた教諭である。
診療後に電話すると懐かしむ前に
お叱りの言葉が飛んできた。
「有ちゃん、一昨年、年賀状をくれなかったな」
ヒーっ。
Ｔ先生はお変わりなかった。
シースルーな深い情熱を
ストレートに言葉に載せて来るのであった。
言い訳が許されるなら、
その年に三宅のパソコンが壊れ、
Ｔ先生が引っ越しをされた後の住所が
分からなくなったのがその理由である。
三宅の非礼を詫び、
互いの近況と昔話をじっくり話した。
自分が高校生だった頃を強く思い出し、
懐かしいやら恥ずかしいやら・・・。
Ｔ先生は電話の終わりにこう諭してくれた。
「奥さんは大事にするもんだよ」
