「わたし、サクランボの国から来たの」
娘は幼少の頃、確かにそう言った。
どこからそんな話を持ってきたのか
さっぱり分からなかったが、
果物好きな娘ならではの話と
父親として受け止めている。
当の本人は全く覚えていないらしい。
三宅の母が娘に高級なサクランボを
買ってきてくれた。
親が買いそうにないものを孫娘に買ってくる。
息子には何も買ってこない。
「シャーッ」
サクランボを家に持ち帰り、
娘がそれを見るないなや
何故かヘビの真似をして
サクランボの所有権を主張していた。
はいはい、誰も取りませんって。