小児歯科の研修会は札幌市内のホテルで行われた。
先の用事で思いのほか時間がかかったので、
会場到着は研修開始ギリギリになってしまった。
ホテルの入り口に学生時代に世話になった
教授がいらしたので挨拶をしていると、
もう研修開始時間になってしまったのである。
開場前で記帳して分厚い資料を受け取り
会場に飛び込もうとした瞬間、
どうも雰囲気が違う事に気がついた。
どんな専門医でも醸し出す雰囲気に
方向性を持っているものである。
会場から漂う雰囲気は明らかに
小児歯科のそれではなかったのだ。
三宅が手にした資料を恐る恐る見ると、
『これからの透析を考えるー○○製薬』
ウギャー、これ医者の集まりだよ!
オロオロしているうちに
はるか向こうの会場でなじんだ雰囲気が
漂っているのを見て透析の資料を持ったままダッシュした。
研修会に遅刻する事はなかったのだが、
分厚い資料が手元に残ってしまった。
『透析』など畑違いも良いところで、
あまりのおっちょこちょいぶりに
[サザエさんワールド]の住人か?などと
我ながら呆れてしまう。
研修会の休み時間に
こっそり資料を返しに行くと、
製薬会社の方はニヤッとされて
「そうだったんですね」と
資料を受け取ってくれた。
そうだったんですヨ・・・。