「女満別空港強風のため、新千歳空港に引き返す事がございます」
札幌での研修を終えて三宅が空港に着くと
そうアナウンスがロビーに入っていた。
前日から暴風雨と予報されていたので心配していたのだが、
女満別空港周辺の方が風が強いとのことである。
「離陸時も揺れが予想され・・・」
と機内でもアナウンスされてちょっと緊張。
しかし離陸も上昇も順調で
ほどなくベルト着用のサインも消えて
三宅にとって忙しい時間となった。
眼下に北見市が見えたところで再度アナウンス
「この先、強風のため揺れる事が予想されますが、
飛行には影響ありませんのでご安心ください」
ああ、揺れるんだなとベルトをさらに締める。
いつもより早く主脚を下ろして徐々に降下してゆくが、
時折強い風に吹かれて飛行機が『ぐっ』と堪える。
また風に乗って『ぐっ』と堪える。
途中、エアポケットのようにサッと機体が下降し
後方座席から低い声で「ひょぉぉぉ」という
乗客の声が聞こえた。
昔乗ったYS-11ではよく聴いた声である。
三宅が知る限り、
明らかに滑走路の斜め後方から侵入した飛行機は、
着陸寸前にバっと侵入方向を力強く修正して
強いブレーキと共に難なく着陸してしまった。
スゴい!
「ご心配をかけて申し訳ございません」
接地後すぐにCAの方がそうアナウンスされていた。
いえいえ心配してません、ええ。