「またサザエさんか・・・」
三宅が小学生の頃、
父が日曜日の「サザエさん」の放送中にそう呟いた。
平成の今であれば[あの]エンディングを聞くとブルーになる
『サザエさん症候群』と三宅は父に言ったであろう。
小学生の頃から三宅はサザエさんのファンであった。
今や絶版であるサザエさんの単行本を全巻持っていた程である。
作者の長谷川町子さんが1978年に新聞に連載していた、
『サザエさんうちあけ話』は作者の自伝である。
当然三宅は毎週楽しみに切り抜いてスクラップしていた。
自伝だからおもしろ可笑しい話ばかりではない。
大好きだった叔父が離婚の末に他界する話や、
作者の母親の武勇伝から晩年の闘病まで、
彼女が心を痛める話など小学生が読むには
極めてリアルな作風であった。
何十年かぶりに再販されている
『サザエさんうちあけ話』を購入して
ふと思い立って読んでみたが、
昔と変わらず大変おもしろい。
大人の視点で読むのがまた新鮮である。
写真の全集に収録されている『サザエさん旅あるき』が
彼女の最後の作品となった。
これまた味がある。