今から40年ほど前のこと。
東京に住む叔母がやって来て
三宅兄弟を北見の路線バスに載せて
端から端まで連れて行ってくれた事がある。
「そんなこと今までしたことがない!」と
三宅は大はしゃぎであった。
バスに乗ると見慣れた街も
違って見えたのが懐かしい。
叔母は終点にある高校前で
バスを待っているときに、
街路樹のシラカバの樹皮を少しはがしてこう言った。
「記念に持ち帰ろう!」
なんでシラカバの木の皮が欲しかったのか、
当時は分からなかった。
北海道ではありふれた木だったからだ。
後から知ったのだが、
叔母は少しの間北見市に住んでいたことがあったと
父が教えてくれた。
おそらく叔母が昔を懐かしんでのことでは
なかったのだろうか。
その後の父と叔母の会話が
これまた懐かしい。
「姉さん、木の皮をはがしたら枯れるよ」
「あらそう?」
その高校の前を通る度に
三宅はその日のことを思い出すのである。