小学生の頃に三宅は父親から
『レゴ禁止令』が発令されて、
手持ちのレゴはすべて実家の地下室にしまい込まれた。
あまりにもレゴばかりしていて
勉強のべの字もしなかったからである。
レゴは半世紀前にデンマークで誕生した。
日本でも有名な玩具であるが、
レゴ社の経営は決して順風なものではなく、
たびたび身売り話に晒されてきた様だ。
現在では多様な商品展開で
世界一売り上げが高い玩具になったとか。
三宅がいつからレゴで遊んでいたか記憶はない。
兄や従兄弟が楽しそうにロケットを作っていたのを
羨ましく思ったのがそのはじまりである。
いつだったか父が三宅の作ったロボットを見て、
「こいつはいい出来だ。賞をあげよう」と
言ってくれた辺りから火がついて、
延々とレゴばかり組む時期があったのだ。
禁止令が出た後、
三宅は地下室に潜ってレゴを作っていたものだ。
地下秘密基地である。
ここでいくつかの作品をロールアウトさせた。
きっと父はそのことを知っていたが
それ以上何も言わなかった。
それから30年ほど。
地下で作った作品は息子がほとんど
破壊してしまったが、
自分の子どもがレゴを組み上げるのを見て
ちょっと感慨深い三宅である。
禁止令は出さない。