Yくんと三宅が会ったのは1歳の時の歯科健診であった。
小さかった彼も15年して高校生になり、
夏休みになった今日に
ちょっと気の利いたTシャツを着て健診にやってきた。
「あ、ちゃんと磨いてますから」
三宅の第1声はいつも同じなので、
あらかじめ答えてくるYくん。
口の中をのぞいてみると
確かに磨いているようだ。
1歳の頃から暫くの間、
彼は三宅の顔を見るたびに
泣いていたものである。
小学生になっても泣いてたっけ。
今やツラっとして
何やら物言いたげにこちらを見ている。
「甘いものも食べてません」
あ、三宅の心を読んだね。