かつて東京に住んでいた。
そう言っても20数年まえに
ほんの4年間のことである。
そのあとは北海道に帰ったので、
すっかり道産子に戻ってしまった。
なので近年では上京するたびに
『オノボリサン』な三宅であり、
ビルを見るなり、人ごみを見るなり、高速道路の建設を見るにつけ、
思わずその口からは『すげぇ〜』と漏れるのであった。
無事に宿泊するホテルに着き、
夕食の算段をすべく品川の駅を
「すげー」と漏れながら歩いていると、
どこかで見た顔がこちらに向かって歩いてくる。
「アレェ!?」
前方から歩いてきたのは
まぎれもなく三宅の兄であったのだ。
地元の北見でもそんなに会わないのに、
どうして品川の駅でバッタリなのか。
兄が同じ日に出張だったことは知っていたが、
品川で待ち合わせたわけではない。
この驚くべき話を家内にしたら
さらっとこう言った。
「血が濃いわね」
それは認めよう。