三宅の読む専門歯科雑誌では
今月も筆頭に論文を載せていた。
そんな先生が三宅のポスターをガン見で、
しかも眉間にはシワを寄せている。
三宅のポスターは専門医の更新のために製作したものであり、
要するにこれは試験なのである。
試験官が誰なのかは知らされていないのだが、
複数の試験官によって審査されると聞いていた。
つまり採点中であったのだ。
平静を保つようにしていたつもりだが、
足はガクガクするし、
その場に立っていられなくなった。
あとは会場をウロウロするばかり。
全くもって小心者なのである。
結果発表の時間になりポスター会場に集まる
24人の歯医者たち。
審査を担当した教授が述べた総評は、
はっきり言って『苦言』であった。
三宅の心のどこかで『提出すれば皆受かるのだろう』と
思っていたのがこの時はっきりとしたのだが、
それは誤りであった。
しかも。
一人一人結果が言い渡されてゆくのだが、
続々と『保留』を言い渡されている。
保留とは審査会にかけて合否を決めるというものだが、
教授はサラッと保留になった先生に告げていた。
その先生のがっくりした顔…。
これは怖い。
オレ、どうなっちゃうの?
(つづく)