「もう水を飲むな!」
そう父から言われて育ったのである。
三宅が学校から帰ってくると
まずコップ1杯。気が向いたらまた1杯。
食事時には3杯以上とガブガブと飲んでいた。
特に冬がウマい。
見かねた父が飲むなと言ってくるのである。
医学的な意味があったのであろうか。
おまけにその頃は運動時などに「水を飲むと疲れる」と言われていた。
体育や運動会などには飲まないようにすることが正しいと、
当時の三宅はクラスメイトから聞いていたのである。
三宅の足が遅いのは水を飲むせいだと思っていた。
足が遅いのは水と関係なかったようだが、
熱中症対策で水分補給が当然になった現代では
およそ信じられない内容である。
当時飲む水といえば
水道水以外と井戸水くらいであった。
容器入りの「ミネラルウォーター」を買うなどとは、
砂漠かどこかの外国だけでろうと思っていた。
ところが今ではお店で
ミネラルウォーターのオンパレードである。
父が見たらなんと言ったであろう。
いや何も言わないな。