「今日は『シュー』するの?」
と涙目で通院している子どもが効くので、
「『シャー』はするかな」そう答える三宅。
この場合の『シュー』とは歯を削る機器のことである。
冷却のために水を噴霧させながら必要な部分を削るので、
その音から子どもが『シュー』と云う認識に至るのだろう。
そうして三宅に聞いてくる。
「今日は『シュー』するの?」
「『シュー』はしないけれど『シャー』はするかな」
ここで『シュー』しないなどと歯医者が口にするのは愚行であり、
よって『シャー』などど言葉を変えるのである。
そしてほどなく子どもからしたら『シュー』も『シャー』も
同じであることに気づく。
「『シュー』も『シャー』もダメっ!」
と言い出すので三宅はこう云う。
「じゃあ、『チョー』だったらいいかな」
なぜか子どもはしばらく沈黙するのだった。