三宅が研修医の頃は
よく餃子を作っていた。
学生の頃に同級生から作り方を
教わったのである。
その作りは本格的であり、
本場中国の味であった。
(三宅は中国に行ったことはないが)
中国で餃子といえば『水餃子』であり、
焼き餃子は異端なのだと
同級生から聞いた事がある。
果たして彼の作る水餃子はとても美味しく、
日本のスーパーにもある調味料で
驚くほど深い味を出していたものだ。
何年か前に三宅が娘に振る舞おうと、
餃子を作ったのだが、
あまり売れ行きはよくなかった。
おまけに自分で食べても
昔の感動はない。
自分の炊事の腕は落ちたとガッカリしていたら、
ほどなく娘が焼き餃子を作ってくれた。
そして美味しい。
ドラマで「父を乗り越えてみよ!」という
熱血なセリフを聞いた事があるが、
こと餃子に関しては娘は父親を乗り越えた。
いとも簡単に。