歯科医院用の買い出しに出かけ、
帰ってくると駐車場にハトがウロウロしている。
よく見る光景だ。
どこにでもハトはいるのである。
どうということはない。
「クルックー!」
そう車から降りた三宅は言ったが
ハトは無口であった。
そして車を入れようと車庫を開けた瞬間、
ハトが車庫の扉の上に乗って
庫内に半ば入ったような形になったではないか。
驚くというより呆れた。
ハトとはここまで図々しいものだろうか。
どうやら侵入を狙っていたのではないかと思った。
それで無口だったのか。
まるで巣箱の中にいるような顔をして、
三宅をキョトキョトと見ている。
ハトに巣を作られたらたまったものではないので、
恐れ入りますが追い出すことにした。
車庫の扉を閉めるようにゆっくりと動かしたら、
ハトは少しずつ歩いて
奥の方に入ってゆく。
さらに角度をつけると、
滑ってハトは降りてきた。
「ババッ」
一定の角度になった所で
ハトはサッと飛び出ていった。
相当粘られたがどうにか立ち退きに成功したのである。
ホッとしたような、
面白かったような・・・。
何かしゃべれ。