本を読んでいると
こんな文章が目に入って驚いた。
「歯みがきは衛生上の行為にとどまらず、
身の穢れをひそかに精進する習慣である」
なんだこれ!
他の同業者がどう思っているか知らぬが、
『身の穢れ』という表現を己が専門とする領域において
考えたこともなかったからだ。
確かに『歯の汚れ』すなわち身の穢れである。
しかし身体に潜み住む
細菌の生命活動の結果を『穢れ』とは
大学で歯科学を習った後では到底想像できない言葉である。
何か精神論というか神事というか。
しかも『ひそかに』であった。
歯みがきは『こっそり』穢れを取り除く習慣というのだ。
人に見せるものではない。という帰結である。
その個人的習慣にあれこれ口を出す歯科医療従事者は
どういう立場と捉えればよいのだろうか。
仕事の前にお祓いが必要か・・・。
そんな大層なものじゃナイか。