片思い

ポップコーンが好きだ。

小さい頃にポップコーンは

憧れの食べ物であった。

ポップコーンにありつけるのは、

映画を観るときだけだった。

なぜか父は買ってくれなかったのである。

ポップコーンがあれば

三宅は際限なく食べてしまう。

それほど好きだ。

しかし胃腸の弱い三宅は

あるとき主治医にこう言われた。

「とうきび類は食べちゃダメです」

まったくもって

消化に悪いのだそうである。

大好きなものを禁止されるのは大変ツラい。

遠き日の片思いの様だ。

しかしポップコーンに腹は変えられぬので、

医者の言葉は守る。