院長の「なんていうか」日誌

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魔法にかけられて(2007年アメリカ)その2

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「魔法にかけられて」は2007年に公開されたディズニー映画だ。

日本でも映画館で公開されているが、

アナ雪など他のプリンセス映画に比べて

あまり話題に上ることはない様に思う。

 

このブログで取り上げるのは2回目だ。

 

miyake-yuu.hatenablog.com

このブログを始めた初期に記事にしているが、

久しぶりに取り上げてみようと思う。

いや、なんのことはない。

休日に乗じて三宅が観たからであった。

 

10年ぶりに三宅は観た、というワケでもない。

定期的に観ているのである。

 

         ◆

 

おとぎの国「アンダレーシア」に住む乙女[ジゼル]は

いつの日か出会う王子様を待つ毎日。

しかし運命の王子[エドワード]は

継母の[ナリッサ]に出会いを邪魔されている状態が

何年も続いている。

お約束通りに出会った2人は

出会った翌日に結婚式を挙げるべく

彼のお城に向かうが、

ナリッサはジゼルを騙して

『永遠の幸せなどない世界』に送り込んでしまう。

それは現代のニューヨークであった・・・。

 

         ◆

 

ディズニーのプリンセスものであることに違いはないが、

この作品の凄いところは、

全編がディズニーそのものの『セルフパロディ』で

出来上がっていることだ。

パロディばかりなのに作品として完成度がとても高いのだ。

 

パロディだけで作品を観ていくのも面白い。

なにせ50以上にのぼるパロディだらけの映画で、

いちいち説明すると作品のあいだじゅう

ずっと説明が必要なほど大変だ。

例えば、

 

・リトルマーメイドと美女と野獣の主役女優がカメオ出演している

・メリーポピンズ(1964年)に出演していた女優が2人出演してる

・バスの運転手の髪型がミッキー

・ロバートとジゼルが食事するお店の名が「ベラ・ロッテ」(わんわん物語といっしょ)

 

などと軽いものからディープなものまで

続々と登場する。

すごいのはそれを宣伝することなく、

ツラッと映像化していることだ。

日本の作品なら宣伝で公開前にネタバレさせるであろう。

 

サウンドトラックも秀逸。

いまや巨匠アラン・メンケン氏の作曲は

白雪姫からシンデレラをモチーフとしたと思われる曲調で、

そのくせ現代風に密度の高い楽曲に仕上げている。

 

ダンススコアの

想いを伝えて(That's How You Know)」の楽しさや

そばにいて( So Close)」のロマンチックさといったらない。

 

プリンセスものといえば

子ども向け映画に思えるかもしれないが、

この作品は明らかに大人を意識した映画だ。

もしかすると日本では誤解されているかもしれぬ。

恐らく家庭を持った人にヒットさせる様に作られた映画であろう。

 

『真実の愛』というセルフパロディーが、

なんと現実の私たちの皮肉になっている。

悪役ナリッサのセリフをよく吟味して欲しい。

 

最後のダンスシーンのリッチさと言ったらないのだが、

主役2人(もしくは4人)の表情を見比べてみて欲しい。

曲に合わせて実に雄弁に心情を伝えてくる。

皮肉屋で『真実の愛』などないと思っている様な現代人のロバートが、

最後のダンスシーンに合わせて、

はじめて本音を恥ずかしそうに歌うのである。

その時のジゼルの顔を見て欲しい・・・。

 

主人公たちの心情を追うのもよし。

パロディをつぶさに探すもよし。

適当に見流しても面白いことうけあい。

日本語吹き替えもレベルが高く、

エンテーテイメントとしてハイレベルな作品だ。

 

日本であまり話題にならないのが

不思議でしかたのない作品だが、

密かに楽しんでおくのもいい。

 

 

何食わぬ顔をしてこういう優れた作品を作るディズニーは、

やはりビッグなのである。