院長の「なんていうか」日誌

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他人の空似

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三宅が小学校に上がる前のこと。

 父親の一言で東京の伯母のところへ

父と2人で行くことになった。

かれこれ半世紀も昔である。

 

『就学の儀式』と言ったことではないだろうが、

もともと三宅家は東京に籍があったので

父が東京を見せようと思ったのだと

自分では解釈している。

 

当時上京するためには

北見市から夜行列車で

千歳空港まで行き、

翌朝に飛行機で羽田まで飛んだものだ。

けっこうな長旅であった。

 

羽田には伯母が迎えに来ており、

伯母が大好きだった三宅は嬉しくて多弁になった。

しかし、このあと乗ったモノレールが

飛行機より怖くて無口に。

 

モノレールを降りた浜松町の駅で

記念にと絵ハガキの自動販売機があって、

伯母に買ってもらったのが懐かしい。

確か50円で5枚したと思う。

その後、お決まりの東京タワー観光だったが、

エレベーターの中で動けなくなり、

この時初めて三宅は高いところが苦手だと思い知った。

 

今から考えると不思議なのだが、

そのまま伯母の家に行くことはなく、

なぜか1日目はホテルに泊まったのである。

 

そのホテルでの夕食が、

生まれて初めて食べたハンバーグであった。

最初父は好き嫌いの多い三宅が

ハンバーグを食べるとは思っていなかったらしく、

三宅がそれを注文した際には

えらく心配した顔をしていたように思う。

 

今も忘れぬが、

ハンバーグと付け合わせはグリンピースだけという一品。

もともと父は挽肉の料理は苦手だった様に思うので、

息子がそれを食べるとは思わなかったのかもしれない。

 

しかし三宅はペロリとハンバーグを平らげた。

おいしかった。

父親は目を剥いて驚き、

後々伯母にも母にも自分の自慢話のように話していた。

食べたのは三宅なのに。

 

さて、あくまで三宅の感覚なのだが、

このときのハンバーグの味が

『びっくりドンキー』のハンバーグと

よく似ているのである。

 

銀座のレストランと

びっくりドンキーが同じ味だとは、

どちらに対しても少々微妙なニュアンスになってしまい悩ましい。

しかし似てると感じるのだ。

 

「他人の空似」というのは

適切な言葉かどうか分からぬが、

びっくりドンキーに行くたびに

こっそり懐かしんでいるのである。