なんということはない。
三宅にあだ名がついた。
ある兄弟だけである。
その兄弟だけ三宅をこう呼ぶ。
「コアラ」
三宅がコアラ似かといえばそうではなかろう。
別にコアラのぬいぐるみが診療室に置いてあるわけでもない。
さぁ、これでは読者には全く謎であろうから
すこしばかり解説をする。
診療室にやってくるその女の子は、
いつもニヤニヤしているが、
診療台で三宅が口の中を診ると
少々怖がる子であった。
その子がなぜか三宅を見て
「コアラ」と呼んだのである。
そこで三宅も三宅でコアラのモノマネをしたために、
その子から「コアラ」または「三宅コアラ」で
定着したのである。
その子のお兄ちゃんが来た時はいきなり、
「コアラ!」と呼ぶのだ。
初対面なのに。
そんな大したことない理由だが、
ある家庭限定でコアラになってしまったのである。
動物のあだ名がつくというのは、
あまり良い場合ではないことが多いが、
「コアラ」はそういうイメージはない。
『コアラ歯科』に変えようかな。