昨日今日と時折強い風が吹いて、
みやけゆう歯科医院の前を走る道路一面が
松の葉でいっぱいになった。
『落ち葉拾い』の時期である。
街路樹の葉が落ちるのは、
その風情や恩恵からしたら止むを得ないと思う。
個人的に風物詩である。
夕刻に松の葉や自分の医院の落ち葉を拾い集める。
これが院長の仕事であった。
いつも思うが手が遅いので、
ちょっと時間がかかるのが恨めしい。
ところがしばらくして遠くから女の子の声が聞こえる。
「歯医者〜、歯医者〜、歯医者〜」
歯医者と連呼して女の子が
みやけゆう歯科医院の前を通る。
歯医者として認識されていると思うと、
ちょっと嬉しい。
後から歩いてきた母親と思われる女性に
女の子はこう言った。
「みて、ほら、歯医者さん」
落ち葉を拾う三宅を指差して
母親に教えているのであった。
もう手を振るしかない三宅であった。