三宅が小さい頃は
夕方のテレビといえば
子ども向けのアニメ番組が放映されていた。
今と違って子どもの時間だったのである。
その中でも『トムとジェリー』は再放送の定番。
1年中放送されていたのだが、
それを1年中飽きずに観てるのが三宅であった。
その中でも三宅の心に残る1本を紹介しよう。
『天国と地獄(原題・Heavenly Puss:天国の猫)
邦題タイトルはどうやら
黒澤明監督の映画から来ている様に思う。
◆
ある晩のこと。
トムが暖炉の前で寝ている前を
ジェリーがこっそり通り抜ける。
テーブルの上の食べ物を頂戴するためだ。
しかしトムはジェリーに気付いていた。
静かに近づいたトムがジェリーに襲いかかり、
いつもの追いかけっこが始まる。
ジェリーは階段を駆け上がるが、
トムが階段に貼り付けてある絨毯を
引き剥がして捕まえようとする。
ところがジェリーだけではなく
絨毯の上に乗っていた段上のピアノまでもが
トム目掛けて落ちて来てしまうのであった。
バーン。
いつもならトムがペラペラになって
すぐさま復活するのだが、
今回だけは様子が違う・・・。
◆
小さい頃の三宅がこの作品が怖くて
仕方がなかった。
トムがエスカレーター!で天国に登るときに、
自分の身体をチラッとだけみて
振り返らないのがすごく怖かったのだ。
上の動画に示したのは
当時の放送の吹き替え版であり、
三宅が観たものだ。
天国の駅で駅員をしているのが
年老いた猫なのだが、
この方のアフレコが抜群に上手い。
駅員はトムがジェリーにいたずらばかりしていたからと、
天国行きの特急には乗れないと告げるのであった。
駅員はトムに天国へ行くための方法を教える。
慌てて地上に戻ったトムはジェリーに助けを求めるが、
ジェリーはいつものいたずらと相手にしない。
この時のトムを見て全く笑えない三宅。
さらには 、
後半に見せるトムの悲哀に満ちた表情が
三宅を怖がらせたものだ。
ギリギリのトムはどうなってしまうのか・・・。
恐ろしげなサウンドトラック(音楽)も素晴らしく、
鼻っから怖い話なのだが、
トムの人の良さを表した
いい話で心に残っている。
こういうレベルの高い内容が、
72年も前に存在したなんて・・・。
いちどご覧あれ。