『みやけゆう歯科医院』の名は、
開業する前に簡単に決まった。
なんのことはない実家が『三宅医院』だったので、
混同されない様に自分の名前を
フルネームで付けたものである。
しかし似た名前に変わりはなく、
この20年で幾度となく我が歯医者に
胃腸の相談にいらっしゃる方がいたりした。
三宅の父親は別の名前を考えていて、
「どうだ」と自信満々に提示してくれたが、
ほとんどスルーして今の名前を役所に届け出た。
まったくもって親不孝者である。
フルネームの看板を見るたびに、
いかにも自分1人が頑張ったのだという
気がして決まりが悪い。
小中高大の恩師たちや、
父母のことを忘れて、
自分1人でやりましたと自慢する様な
愚かさを感じるのである。
看板の根本にお世話になった人たちの
名前を刻もうかとも思うけれど、
それでは看板ではなく記念碑になってしまう。
さすがに変だ。
とりあえず近々に
父の墓前で手を合わせることとしよう。
ナマエボツニシテゴメンネ・・・