「あのころは子どもだったな」
そう三宅が呟くと少し遠くから家族が、
「今は大人なの?」
鋭い。何も変わっていない気がする。
興味があることは延々とそればかりに集中する。
昔も今も何も変わっていない。
変わったことがあるとすれば、
その興味を持つものが少しばかり
コストのかかるものになった。
医院の調度品などである。
いつも医院内の椅子やら机やら小物までを
買い替えられないか延々と考えている。
場合によってスタッフが気づかないうちに
椅子が変わっていることもある。
マッハのスピードだ。
買うときに決めることは
金額やサイズもあるが、
「好き」
この一点で決めるのだ。
この点、子どもか。