現在NHKでウルトラセブンの再放送が行われている。
再放送と言ってもリマスター(レストア)されており、
あまりに鮮やかな色合いにため息が出るほど。
ウルトラセブンの中でも有名&人気なタイトルが
この第8話「狙われた街」だ。
三宅が学生の頃にレンタルビデオで見て以来なので、
実に30数年ぶりに鑑賞しゾクゾクした。
◆
このところ飛行機事故やライフル魔など
思いがけない事件が続いている。
ウルトラ警備隊も気にしていたが
警備隊のフルハシ隊員が急に暴れ出して、
取り押さえるとライフル魔と同じ様に昏睡してしまう。
主人公モロボシ・ダンが調査すると
駅前にあるタバコの自販機が不審であることに気づく。
タバコを補充しにきた男を追って
古びたアパートに踏み込むダン。
いきなりダンの前に現れた宇宙人は侵略者であった。
特殊なタバコを使って、
地球人の優れた信頼関係を壊せば
簡単に地球を侵略できるというのだ。
アパートから飛び立つ宇宙船にダンは
罠にかかって閉じ込められてしまう・・・。
◆
子ども向け番組なのだから、
単純明快に主人公のダンが事件をただ解決すればいいのだが、
レギュラー陣はこぞって逆光のシルエットか、
画面の隅に小さく顔を見せるといった
独特の渋い画面が続く。
飛行機事故の葬儀の参加者が、
各々に事故の噂をする声が
こそこそと聞こえてきたり、
緊迫するライフル魔との対決シーンは、
どう見ても『子ども向け番組』ではない。
あまりにもリアルである。
ウルトラセブンはともかく、
怪獣も最後の最後に出てくるだけで
短時間に決着してしまうのだが、
その工場群のシーンはあまりにも劇的だ。
徹底的にリアリズムを追及して、
最後にズバンとセブンが決着させてしまう。
いい歳してゾクゾクしてしまった。
そうして最後のナレーションが凄い。
「メトロン星人の地球侵略計画はこうして終わったのです。
人間同士の信頼感を利用するとは恐るべき宇宙人です。
でもご安心ください。このお話は遠い遠い未来の物語なのです。
え、何故ですって?われわれ人類は、今、宇宙人に狙われるほど、
お互いを信頼してはいませんから・・・。」
なんたる皮肉であろう。
こういう作品が子ども向けに
三宅が1歳になる前に放送されていたとは。
昭和のクリエイターからすると、
今はまだ遠い未来ではないらしい。