院長の「なんていうか」日誌

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狙われた街(ウルトラセブン:1967年 日本)

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現在NHKでウルトラセブンの再放送が行われている。

再放送と言ってもリマスター(レストア)されており、

あまりに鮮やかな色合いにため息が出るほど。

 

ウルトラセブンの中でも有名&人気なタイトルが

この第8話「狙われた街」だ。

三宅が学生の頃にレンタルビデオで見て以来なので、

実に30数年ぶりに鑑賞しゾクゾクした。

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このところ飛行機事故やライフル魔など

思いがけない事件が続いている。

ウルトラ警備隊も気にしていたが

警備隊のフルハシ隊員が急に暴れ出して、

取り押さえるとライフル魔と同じ様に昏睡してしまう。

 

主人公モロボシ・ダンが調査すると

駅前にあるタバコの自販機が不審であることに気づく。

タバコを補充しにきた男を追って

古びたアパートに踏み込むダン。

 

いきなりダンの前に現れた宇宙人は侵略者であった。

特殊なタバコを使って、

地球人の優れた信頼関係を壊せば

簡単に地球を侵略できるというのだ。

アパートから飛び立つ宇宙船にダンは

罠にかかって閉じ込められてしまう・・・。

 

         ◆

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子ども向け番組なのだから、

単純明快に主人公のダンが事件をただ解決すればいいのだが、

レギュラー陣はこぞって逆光のシルエットか、

画面の隅に小さく顔を見せるといった

独特の渋い画面が続く。

 

飛行機事故の葬儀の参加者が、

各々に事故の噂をする声が

こそこそと聞こえてきたり、

緊迫するライフル魔との対決シーンは、

どう見ても『子ども向け番組』ではない。

あまりにもリアルである。

 

ウルトラセブンはともかく、

怪獣も最後の最後に出てくるだけで

短時間に決着してしまうのだが、

その工場群のシーンはあまりにも劇的だ。

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徹底的にリアリズムを追及して、

最後にズバンとセブンが決着させてしまう。

いい歳してゾクゾクしてしまった。

 

そうして最後のナレーションが凄い。

 

「メトロン星人の地球侵略計画はこうして終わったのです。

 人間同士の信頼感を利用するとは恐るべき宇宙人です。

 でもご安心ください。このお話は遠い遠い未来の物語なのです。

 え、何故ですって?われわれ人類は、今、宇宙人に狙われるほど、

 お互いを信頼してはいませんから・・・。」

なんたる皮肉であろう。

こういう作品が子ども向けに

三宅が1歳になる前に放送されていたとは。

 

昭和のクリエイターからすると、

今はまだ遠い未来ではないらしい。