午後9時丁度。
三宅が花壇に水をやろうと
散水栓の蛇口を引っ張り上げると、
ドッ、バババババババ・・・
蛇口が引っこ抜けて
瞬間三宅の身長を超える勢いで、
散水栓は噴水になった。
蛇口が抜けていたのである。
それを止めるために
飛び散る水の中で格闘した三宅は
当然の結果として
ずぶぬれになった。
テレビのバラエティで
タレントが海や池に落ちるのを
よく見るものだが、
それはそういう仕事であって、
いい歳した歯医者が夜の9時を回って
パンツまでずぶぬれになるのは
正直言ってかなり情けないものである。
おまけに真夏と言っても
夜の北見は15度ほど。
弱い風も吹いていて
やたら寒い。
どうにか散水栓は元の状態に戻したが、
しばらくの間ずぶのれのまま
茫然と立ちすくんでいたら、
飼い犬が飛んできて
明らかに何か言いたそうな顔をした。
『なにやってんの?』
むぐぐ。