トムとジェリーの作品の中には、
音楽をテーマとしたものがいくつかある。
その中でも突出しているのが、
この『ピアノ・コンサート(原題:The Cat Concerto)』だ。
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トムがピアニストになり
コンサートが始まるが、
トムが演奏するグランドピアノには
ジェリーが住んでいるのだった。
寝ているところを起こされたジェリーは
トムに腹をたてるが・・・。
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劇中にトムが弾くのは
リストのハンガリー狂詩曲。
荘厳で重苦しい曲が始まると、
その苦味走ったトムの表情が可笑しい。
ジェリーが登場してトムの邪魔をするが、
楽曲にピタリと合った動きで、
鍵盤の位置も正確で驚かされる。
途中にジェリーが曲を当時の流行曲に変えてしまって、
リストとは全く違ってしまう。
それに乗ってしまうトムが好き。
最後までドタバタだがその完成度は高く、
神回と言って差し支えないだろう。
後の作品の中には『ロジャーラビット」のように
この作品のパロディを行なっているものが
いくつも存在するのである。
三宅はピアノを弾くことはできないが、
この作品の通りに引けたら
さぞカッコいいだろうナ、
と想う次第である。