当たり

「ピノ当たってんじゃん。よかったね」

そう家族に言われるまで、

三宅は気づかなかった。

アイスクリームの「ピノ」を食べようとしたところ、

下段中央のピノが星型だったのである。

どうやらハート型もあるようだが、

この歳になって『当たり』と言われるのは久しぶりで、

意外にも新鮮だった。

当たりとなると食べるのが惜しい。

しかし家族はそれを許さなかった。

早く食べれ。

食べなければ私が食べる、と、

やいのやいのと言ってくるのである。

『ピノは溶けかけが一番ウマい』

という信念を通すのは、

なかなか大変であった。

ペロリンガ星人。