三宅が中学1年の時に家庭科で作った絵本の題名が
「オバケはどこへ行った」だった。
◆
むかしむかし。
オバケが子どもたちを
夜な夜な脅かして楽しんでいた。
日が暮れると暗かったからだ。
しかし現代になると
夜の街は明るくて、
だれも怖がらなくなった。
いつのまにかオバケは現れなくなった・・・。
◆
という郷愁あふれる作品だったが、
同級生Yは三宅の発表が終わるとピンッと手を上げて、
「オバケがどこへ行ったかわかりません」と
郷愁もへったくれもない感想を述べて
三宅の顔を赤くさせた。
そんな42年前の話も遠い昔。
当時ほとんど知られていなかった
ハロウィンがイベントとして知られて久しい。
近くのカフェで売っていた
ケーキをランチタイムに買ってきた。
おお、パンケーキのオバケである。
ハロウィンだからパンケーキ・モンスターか。
今日の診療が終わったら
ちょっと食べようと思っていたのだが、
帰ってきたら家族からオバケはどこかへ行った。と
告げられた。
「オバケはどこへ行った?」