「どうしたら禁煙できるだろう」
「そうですねぇ」
今から43年前。
三宅が6年生の時の担任との会話である。
S先生はヘビースモーカー。
しかし当時の職員室は
特に昼休みの時など煙モクモクで、
どの先生もヘビーに吸っていたよう感じたものだ。
今では考えられぬ状況であった。
何を考えたかS先生は
三宅に禁煙の相談をしてきた。
いや単に三宅の父親が医者だったからだけかも知れぬ。
「やはりですね」
そう知ったかぶりした三宅の話を
聞いてくれたものだ。
今の年齢になってから考えると、
禁煙は話のネタであって
S先生が三宅に努めて話しかけてくれたのかも
しれないなぁと思うようになった。
叱るときは叱り、
褒めるときは褒める
子ども好きな先生であった。
みやけゆう歯科医院を開業してから
数年後にS先生の訃報を新聞で知った。
地元に戻ったのだから
挨拶に行けばよかったのに・・・。