今日の午後の診療は
なぜか混み合った。
詰め物が取れた患者様が多かったのもある。
弱り目に祟り目とはよく言ったもので、
何やらカルテ用パソコンの調子が悪い。
受付担当スタッフが必死に電話にかじりついて
どうにか運用してくれていた。
小さな歯科医院だが
スタッフも三宅も院内を
ほとんど走り回っており、
次から次へとやることが山積みになった。
診療台の清掃が終わり、
さあ次の患者様を診察室に入れようと
思った矢先に三宅は星を見た。
ガチン。
カルテを持って振り向き様に
三宅は戸棚の角にデコをぶつけたのである。
言葉を失った。
目を開けていられなくなった。
消毒室で動けなくなった。
歯科衛生士が驚いた。
数十秒してから
三宅はまた走り出して、
次の作業に取りかかった。
診療が終わってから
事情を知らない中堅歯科衛生士が
三宅を見て言う。
「先生、おデコ赤いですけどどうしましたか」
いででで。