十数年来の常連であるRちゃんは、
クールな顔で定期健診にやってきていた。
「Rちゃん元気?」
「元気です」
「学校はどう」
「楽しくやっています」
「歯磨きしてるかい」
「ちゃんとやっています」
どちらが大人だかわからない会話になるが、
その昔、母親に抱かれて喃語を発していたRちゃんの
記憶がまだ新しい三宅には
とても驚くべき時間である。
Rちゃんは三宅の言いつけを守り、
歯磨きにはケチのつけようもなく、
歯によろしくないと予想できる食物は
ほとんど摂取しておらず、
真に優秀な患者様であった。
健診の最後に、
「何かシールでもいらないかな」
「いいえ、大丈夫です」
とクールに答えてRちゃんは帰っていった。
時は流れたのだ。