昭和の夕方にテレビ放送されていた
アメリカのアニメ「トムとジェリー」の中間の話、
俗にいう『まんなかのやつ』で観る事ができた作品、
「いかさまキツネ狩り」を紹介しよう。
作者はトムとジェリーと同じではなく、
テックス・アヴェリーというアニメーターだ。
ある意味ウォルト・ディズニーが確立した
アニメーションの技法を真っ向から壊した人で、
特に1948年から1955年までの間の作品は
どれも傑作である。
というか、誰も彼を超えた人はいない。
◆
猟犬のドルーピーは飼い主から
きつねを1匹捕まえるごとに
厚いステーキをもらえると聞いて、
仲間の猟犬たちときつねを探しに行く。
のんきなドルーピーはゆっくりきつねを探すが、
ずる賢い仲間の猟犬は
あの手この手できつねを捕まえようとするのだった。
時にはドルーピーを騙してでも・・・。
◆
主人公のドルーピーは
あまり画面に映らずに、
他の猟犬ときつねの争いが大部分である。
そこが可笑しい。
しかもモブみたいな猟犬たちが
みな嬉々としてきつねを探し、
まんまとやられるのが快感である。
ある意味トムとジェリーっぽくもあるのだが、
そのナンセンスさの塩梅が
70年経った今も秀逸だと思う。
テックス・アヴェリーは天才だったが、
ほとんど本国でも名前も知られることなく、
静かに消えていった。
大変残念な気もするが、
そもそもほとんどの作品・作家は
虚空に消えるものなのかもしれぬ。
個人的には定期的に観てますが。