あまり知られていない
トムとジェリーの『真ん中のやつ』を一つ紹介しよう。
「恐怖よさらば」は『真ん中のやつ』で知られる
テックス・エイブリー監督の初期作品だ。
本放送ではタイトルの部分が日本用タイトルに
すげ替えられているが、
オリジナルはグレーの背景画に
ショッキングピンクのテロップで
大変おしゃれである。
◆
「これは私の不思議な一生の物語です」と
おどろおどろしい音楽と共にナレーションから、
サイコホラーチックに始まる。
古い屋敷で恐怖に慄く黒猫が恐れるのは、
鳩時計から出てくるカッコウだった・・・。
黒猫の取る道は一つ。
自分が生きるかカッコウをヤルか・・・。
決意した黒猫の運命やいかに。
◆
72年前の作品だが、
そのアニメーションとしての動きや
表現方法はもはや完成の域に達している。
黒猫とカッコウの争いは
エイヴリー作品の基本をこの作品で
完成させたと言って良いだろう。
出てくる格好がウッドペッカーと
姿も仕草もどこか似ていて、
恐らくリスペクトしたものと思われるのが興味深い。
作画も絶妙。
黒猫の表情が素晴らしすぎる。
ラストのブラックさも通好みで、
小さい頃から心に残る作品だ。
ところが日本のDVDなどには
一切収録されなかった。
子どもが見るにはブラックすぎると判断されたのか。
では幼少の時に何度も観ていた三宅は
どうなるのだ。
と、どうでも良いことを思う。
世界的にももっと評価されても
良いと思うのだが。