院長の「なんていうか」日誌

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恐怖よさらば(原題:THE CUCKOO CLOCK(鳩時計)1950年アメリカ)

 

あまり知られていない

トムとジェリーの『真ん中のやつ』を一つ紹介しよう。

 

「恐怖よさらば」は『真ん中のやつ』で知られる

テックス・エイブリー監督の初期作品だ。

 

本放送ではタイトルの部分が日本用タイトルに

すげ替えられているが、

オリジナルはグレーの背景画に

ショッキングピンクのテロップで

大変おしゃれである。

 

 

        ◆

 

「これは私の不思議な一生の物語です」と

おどろおどろしい音楽と共にナレーションから、

サイコホラーチックに始まる。

古い屋敷で恐怖に慄く黒猫が恐れるのは、

鳩時計から出てくるカッコウだった・・・。

 

黒猫の取る道は一つ。

自分が生きるかカッコウをヤルか・・・。

決意した黒猫の運命やいかに。

 

        ◆

 

72年前の作品だが、

そのアニメーションとしての動きや

表現方法はもはや完成の域に達している。

 

黒猫とカッコウの争いは

エイヴリー作品の基本をこの作品で

完成させたと言って良いだろう。

出てくる格好がウッドペッカーと

姿も仕草もどこか似ていて、

恐らくリスペクトしたものと思われるのが興味深い。

 

作画も絶妙。

黒猫の表情が素晴らしすぎる。

ラストのブラックさも通好みで、

小さい頃から心に残る作品だ。

 

ところが日本のDVDなどには

一切収録されなかった。

子どもが見るにはブラックすぎると判断されたのか。

では幼少の時に何度も観ていた三宅は

どうなるのだ。

と、どうでも良いことを思う。

 

世界的にももっと評価されても

良いと思うのだが。