院長の「なんていうか」日誌

みやけゆう歯科医院のオフィシャルページ

樺太の屋根


「いやー、先生の(医院の)
 建物を見ると
 樺太の兵舎を思い出すねぇ。」



Kさんは入れ歯の具合を調節しに
みやけゆう歯科医院に通院されている。


90歳を超えても
なお矍鑠(かくしゃく)と
されているKさんは
先の大戦時に樺太
兵長をなさっていたそうで、
その思い出話を
してくださる。


「屋根の作りがおんなじだ。」



その兵舎は
みやけゆう歯科医院と同じく
松の木で作られていたらしい。



「みんな逝ってしまった・・・。」


みやけゆう歯科医院を見て
逝かれた戦友達を
思い起こされるそうである。
建物を建てた院長的には
『おんなじだ。』
と懐かしがられても
ちょっと微妙な
気持ちにさせられる。



Kさんはお話し好きである。
いつもスタッフと楽しく
談笑している。
さすがに最近の話というより昔話だが、
三宅を除く
ほぼ全員のスタッフと
会話が弾むので、
おそらく若い頃には
プレイボーイだったのではないか
という推測をするのに
難くない話術である。
ツメの垢をもらおうか。


おまけに、
必ず診療の終わりには
診察台の出口で
スタッフと更なる
談笑を始める。
三宅がやってくると、
「それじゃ・・・。」
といって帰るので、
男の直感としては
Kさんはナンパしているのに
間違いないのである。
90歳の三宅が
そんな元気があるとは思えない。
なんてエネルギーのある人だ!


「いつお迎えがくるかわからんもね。」


とKさんはおっしゃるが、
間違いなく、
まだだいじょうぶである。
三宅が保証する。



先日の予約の際、
Kさんは姿を現さなかった。


『入れ歯痛くなくなったのね。』


とKさんの無事を
三宅もスタッフの誰もが
確信するのだった。