先程届いた宅配便は
三宅の大学の同窓会名簿であった。
個人情報の法律が作られてから
名簿の扱いは特に重要になったが、
定期的に溜まるこの
同窓会名簿の処理方法を
考えなければならぬと思えば
ちょっとだけ溜息が漏れる。
そんなアンニュイな
同窓会名簿だが、
家人がしげしげと
読んでいるので、
「何か面白いかい。」
と質問すると、
「この先生の医院名、○○歯科だって〜。
オモロー。」
と三宅の質問に答える事なく
随分と名簿をかれこれ20分ほど
読んでいる。
同窓会名簿をこんなに
楽しく読む人も
珍しいのではないか。
「同窓会の会長に言って
地図付けてもらって。」
と無理無体な事まで言う。
しかし、考えるに
特定の職種の住所録は
どうして面白いかも知れぬ。
例えば都市偏在などの傾向性が
垣間見えてもおかしくはない。
と、診療の合間に記事を書いていたら
家人からメールが来た。
「いやだ、この先生私の実家のそばよ。
今度買い物に行ったら会うかも。」
まだ楽しんでいるらしい。