人が歯を抜くことは
いささか非常事態であろう。
緊張しないはずがない。
かく云う三宅も矯正のため
自分の歯を抜いている。
15年前の話だが、
やはり緊張したし、
依頼した歯科医院で抜いて、
逃げるように帰ったのを思い出す。
ある日、いつも通院して頂いているご婦人、
<Tさん>の歯を抜くため麻酔をした際に
「ご気分はいかがですか。」と伺うと、
「いやー、すごくイイです。」
あれっ?
「歯を抜く時に「嵐」のビデオが流れてて、
応援してくれているなあって。」
ははあ・・・。
このとき、
みやけゆう歯科医院で
流していたビデオは
人気アイドルグループ「嵐」の
コンサート・ビデオであった。
「嵐」のコンサートは
さして関心のない三宅でも
DVDを観る限り
とても楽しそうなコンサートである。
「松潤が好きなんです〜。」
「ああ、松潤ね。かっこいいですよね、彼。」
嵐のメンバーの1人[松本 潤]は
・・・ともかく甘いマスクのイケメンである。
「コンサートも毎年行ってるんです。」
60代のTさんは歯を抜く前だと言うのに、
目をキラキラさせ頬も染めた。
松潤は凄い。
歯を抜くこともなんの問題もなく終え、
たいそう感謝された。
「松潤が応援してくれていたんです。
すごくラッキーって感じ。」
感謝されたのは松潤だった。
ありがとう松潤め。