院長の「なんていうか」日誌

みやけゆう歯科医院のオフィシャルページ

夜の声

昨晩、
子供たちと「ホームレス中学生」を
観ていた。


ホームレス中学生」は実話である。
漫才師の田村裕が書いた自叙伝が
ベストセラーになり映画化された。


ホームレス中学生 スタンダード・エディション [DVD]

ホームレス中学生 スタンダード・エディション [DVD]



突然自分の家が差し押さえられ、
父親が家族の解散を宣言する。
突如ホームレスになった
中学生の生々しい生活が
ちょっと想像出来なかった。



お腹が空いたので、
公園の水を5分間
飲み続けると腹が収まるとか、
雑草を食べる話しなど、
観ていて
「何とかうまく食事にありつけないか」
と、あれこれ対策を考えながら
観ていた。


食事は有り難いのである。
普通に食べられる事が
なんと素晴らしいのか
この映画を観ていて思い出す。
食べ残している場合じゃないのである。



息を飲んで、
子供たちの難しい質問を
かわしながら映画を観ていると、
下の階から声が聞こえてきた。



「ううう、ううう・・・・。」



「?」



その時は家人が下の階に
いる筈である。



「わうう・・・、わう・・・・・。」




どう考えても泣き声にしか聞こえない。
家人が泣いているのである。
一体全体どうした事か。
歯医者の家である。
ホームレスではないのである。
なんか危機的である。




急いで階段を駆け降りると、
家人が真っ赤な顔をして
近づいてきた。



「どうしたの。」



「・・・・違う。」



「えっ。」



「チョコが・・・。」



家人は顔を真っ赤にして
声もなく笑っていたのである。
なんと泣いていたのはチョコであった。
家人によると、
あろうことかチョコは時折
悲しそうに泣くのだと言う。



「チョコ!」



チョコに近づくと
「なんかくれるのか。」と
しっぽを振っている。
どうなってるのだ。



遠くの犬の声に反応したのだろうか。
そういえば、その前に
チョコを中庭に放して
トイレタイムにしたのだが、
三宅がすっかり忘れて
閉め出してしまっていた。
それを嘆いていたのだろうか。




ホームレス中学生」の
映画でのテーマは
サバイバル的な事ではなく、
「自分で『選んで』生きて行く」
事にあると思う。
家族がいっしょにいる事の
意味を問う作品である。




チョコも家族である。



「なに写真撮ってるの?」