「先生、今日は38人来ています。
いま25番目です」
市役所の方が健診中の三宅に告げる。
要約すれば『早くしてください!』
なのかと思うが、
三宅の健診スピードは
あまり早くないのである。
しばらくして、
「先生!今日43人来ています!!」
と少々悲鳴に近い声がかかる。
さっきより増えた。
いつもより多い人数である。
伝えたいことはたくさんあるのに、
ワンポイントだけ伝えて終わる。
毎度ながら念が残る。
結局、
昼休みの時間を大半食いつぶして
健診は漸く終えた。
昼休みも終わろうかと言う時間。
昼食も食べていない
学生を連れて帰ってくると、
主任の[ささき]が学生を迎えてくれた。
あたかも帰りの遅い
娘を心配して待つ
母親の姿そのものであった。
ちなみに三宅を玄関で迎えてくれたことは
今まで一度もない。