「どこの誰だか分かりませんが、
どうぞよろしくお願い致します」
三宅の中学時代の担任だった
刀根先生は三宅ら同級生に顔を会わせるやいなや
そうおっしゃられた。
確かに先生はたくさんの学生の担任になり、
ましてや30年ぶりで再会なのである。
分からなくてもおかしくはないのである。
しかし、
「三宅君の歯医者に行ったのに、
わからなかった。」
「子どもが小さい頃連れていったのに、
目配せしても気がつかなかった」
などと続々と同級生達が
押し寄せるように声をかけ、
三宅を責めるのであった。
顔が分からないのは刀根先生だけではなく、
三宅も同じであったのだ。
全く申し訳ない。
失望させてしまったことを残念に思う。
この場を借りてお詫び申し上げる。
これからは『同級生の○○』と
歯科医院で声をかけて頂けると
大変助かるので同級生のみな様に
重ねてお願いする次第である。