「有君、店はどうや」
大阪の叔父がそう三宅に聞いた。
この場合の「店」は歯科医院のことである。
「ぼちぼちです」
「そうか、そりゃ良かった」
叔父は大阪でスーパーを持つ
90歳に迫る経営者である。
曲がりなりにも歯科医院の
経営をする三宅にとって
叔父の言葉はいつも興味深い。
「また1軒立ち上げんねん。
有君、店を始めるのは皆集まってきて、
お金も回って簡単やが、
閉める時は難儀やわ。」
歯科でも聞く話ではあるが、
叔父の口から出ると重みがある。
もっと話を聞きたかったが、
法事の最中に経営論議も
出来なかったのでお預けである。
「有君、しっかりな」
恐れ入ります。