院長の「なんていうか」日誌

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雲の記憶




出張で飛行機に乗ると
雲海の上を飛ぶ事が多々ある。
空を飛ぶことが人間の夢なら
人類は叶えてしまっているのであるが、
ことさら雲の上を飛ぶ時の
高揚感は三宅を少年の心情へと誘う。




小学生の時、
親族の結婚式で
飛行機に乗った際に、
「なぜいつも雲の上は晴れているのか」
「どうして雲の上に雲がないのか」
「では雲の上で雨が降らないのは何故か」
などと幾度ともなく
同じ質問を父に問いかけた。


父はその都度説明をしてくれたが、
父の回答の内容は
ほとんどと言っていいほど記憶にない。
まあ、30年も前の話だから
どうでもいい話だが、
たぶん三宅が自分の質問に満足し、
聴いていなかったんだろうと思う。
もしくは自分の一部に
なってしまっているのか・・・。



今のところ
三宅の子供達には
雲の上がどうなっているか
関心は無いらしい。
飛行機に乗る際は
窓側の席を要求するクセに、
離陸直後に窓の日よけを下げ、
雲の上でどんな飲み物が配られるか、
どんなお菓子がついているかが
彼らの最大の関心事となる。



いつか三宅も
自分の子供に同じ質問を
受けるようになるだろうか。
そして、
幾度となく
自分の想像の限りに
子供に話をするのだろうか。




飛行機に乗ると
亡き父の笑顔が瞼に浮かぶ。