院長の「なんていうか」日誌

みやけゆう歯科医院のオフィシャルページ

美しいもの



写真は昨日のものである。
昨日降り積もった雪は
今日になって暖かな気温の為に
概ね溶けてしまった。
暖かな日の湿った雪でないと
この「樹氷」の様な状態にはならない。



20年前、
三宅はスノーボーダーであった。
大学生の頃、
新し物好きの三宅は
同級生に誘われて
すぐに板を買って始めたのだ。
当時はスノーボードをする人は少なく、
ボードに乗っていると
羨望のまなざしで
見られたものである。



札幌国際スキー場にはよく通った。
山の頂は日本海側に近く、
雪質は文句の付けようがなく、
ここで三宅はボードを
マスターしたのである。
週末ともなれば仲間で集まって
山から山へ繰り出したものだ。


ある日の事、
札幌国際で急に天候が変わって
吹雪きになってしまったことがある。
やがて雪の勢いは強くなり、
目もロクに開けていられない程になったが
それでも三宅は黙々と滑走した。


斜めに降る雪は周囲の
雪山と同化して
雲の中にいるかのような
錯覚を生じさせた。
山の木々だけが
自分が地上にいる事を
教えてくれたが
自分の呼吸以外に聞こえる音もなく、
いつのまにか「怖い」と
感じるようになった。
しかしながらそれと同時に、
「なんて美しいんだろう。」と
滑るのを止めて
見とれてしまうようにもなった。
吹雪の中の景色が
あまりに美しくて、
厳しくて、
怖くて・・・。
ひとり感激して
三宅は滑りながら
少しだけ泣いていた。




それから数年して
みやけゆう歯科医院を
開業する際に
三宅はスノーボードをやめた。
手にケガをする訳には
いかなくなったからである。




我が駐車場の景色も
あのときの景色に似ているが、
全く違う。
とても怖いのだが、
もう一度吹雪の山で
滑りたいとも思えるのだった。