小学5年生の頃、
三宅は金魚を飼っていた。
11匹だったと思う。
当時、家の近くに
釣具屋さんがあって
金魚も売っていたお店があった。
父に頼んで
金魚を飼ってもらった。
中には縁日でもらってきた
金魚もいたかも知れぬ。
東京から伯母がきた時に
手品マニアだった三宅は
水だけ入ったコップに
金魚が突如現れる
手品を成功させた。
伯母はギョッとして驚き
そして褒めてくれた。
タネを明かせば
金魚は三宅の口の中にいたのである。
三宅が下を向いた時に、
するっとコップに金魚を
落としたのだ。
今考えれば恐ろしい荒技を
やってのけたものだ。
金魚にしてもはた迷惑な話である。
それからしばらくして
金魚は病気にかかったのか
次から次へと水面に浮かぶ
憂き目に遭い
三宅は落胆した。
最後に生き残った金魚は
奇しくも三宅の口の中に
入った金魚だったのである。