三宅の講演は
原稿がなくスライドに沿って
話が進められる。
いわばスライドが原稿と
言ったところだろうか。
原稿がないので、
話の節々は三宅が
思いついたままである。
講演会でむし歯の原因になる
「ミュータンス菌」の話をしていたが、
その生態が分かったのは
つい近年の事である。
それで、とっさに、
「『細菌』だけに『最近』わかりました」
とオヤジギャグをかましたが、
観客の受け方はそこそこであった。
これでいいのだ。
ギャグとは偶然に現れ、
虚空に消えるものである。
講演会の後に
聴講にきてくれたスタッフの
[おおたに]がこう言った。
「先生がギャグを言ってたら、
(いっしょにきた)[ささき]さんが
ムッとして怖い顔してましたよ。」
だから虚空に消えるンだって!